バブル絶頂の平成元年、二年、三年に大学を卒業して、まばゆいほどに日本が、世界で輝き放っていた、そのど真ん中にいた企業群に就職した民(みん)が、いま53歳、52歳、51歳。
ポストオフを迎える54歳、55歳が間近に迫っています。
人生100年時代と、世間が騒がしくなっている中で、何も、手に付けていない丸腰の世代が、後ろから押されながらゴールテープを切る羽目になっているのです。
本人は、数年前まで、確かに、このゴールテープを切るのを、今か今かと待ちわびて、第四コーナーを曲がり、ほぼ、惰性的に、最後のストレートコースを走っている....つもりだったのに。
ストレートコースで、色んな迷いが生じてきました。ふと、「このままゴールテープ切っていいのん?」って不安になってきてしまって、遂には、立ち止まってしまいます。
ゴールテープの直ぐ近くまで来て、立ち止まっていると、後ろから、人事部という人達がふいに押して来て、なにやら、凄く、気前と体裁の良いことをいいながら、おだててはいるものの、しっかりとゴールに向けて、全体重をかけて押し込んで来ているのです。少しでも時間を稼ごうと、ゴールまでのベクトルをずらそうとするものの、人事部という人達が元のベクトルに戻そうとするのです。
遂に、ゴールテープを切ると、家族や、着飾った綺麗な方々が花束を持って喜んで近寄って来てくれます。先ほどの戸惑いは、一瞬、消え去り、照れ笑いを浮かべ、ある種の満足感を味わうのです。
とは言え、ゴールテープの数十メートル先を見やると、落とし穴や、泥沼、平均台や、くぐる用の網が見えます。障害物競争で出てくるような障害物の品々が見えるのです。
とこんな感じのイメージを、今の53歳、54歳、55歳の方々が頭の中によぎっているのです。それに気付いていない「今だけ超ラッキーな方」もいるかも知れません。
A「えー、私の長所は、長年、この足で稼いできました営業の経験と....」
B「部下を管理することが、唯一の...」
C「営業の経験則が、私の宝でして...」
と、ゴールテープを切った数年後、転職エージェンシーに説明しています。
悲しいことですが、これが、「当たらずとも遠からず」な現実だと思います。
私を含めた50代以降は、とても真面目で、時代に合ったノウハウを持っていないことに気付きながらも、少しでも、将来の日本のためになにか自分の何か...新しい価値観の坩堝の中では、自分ではほぼ、客観的評価のできない自分の価値を以て、役に立ちたいと、健気に考えています。
年金という、第二のゴールテープまで何とか、間に合って、滑り込みセーフで駈け込めるかと思っていたのに、あと僅かなところで、テープは遠退き、テープは溶けて消えてなくなってしまいました。
それでも、「私は、管理職なら、うまくこなせます」とか、「今の若い人に社会とは何かを教えていきたいです」とか、思っていたり、言っている人は、まるで、あたかも、映画「ダイハード」で、犯行グループのボスに、「私ならどうのこうのできます」みたいなことを言って、人質に取られて初めの頃に、ピストルで撃ち殺された、あのビジネスマンみたいなのかもしれません。
今では、時代の波に容易く乗ることのできる若い人の方が優れていて、逆に、私を含むシニア層は、若者から、色んなことを教わらないといけない時代に来ていると思っています。
今も既にそうかも知れませんが、既に世界は、若い人中心に回りつつあります。
このような変化に気付かず、「俺の背中を見て育ってくれ」ということを見せたいなどと言う退職予備軍がいるのなら、既に、場外で戦っていることに気付いていないのだと思います。
あと、2年後、「とんだ勘違いをした人達」が、奇妙な時代錯誤のことをつぶやきながら、イス獲り合戦で、グルグル椅子の周りを回りながら、座れずに残っている光景を目にする時代が到来してしまうと思います。
そうならないように、変化や、時代の潮流を、気付いて捉えて、自分を変えていかなければならない、変える準備を着々としていかなければならないと思うのです。
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