世代間別「社会保障費」の「納め得」と「納め損」
まずは、次の表を見てみる。出典は「第17回 60歳以上は年金の「納め得」で、55歳以下は「納め損」。世代間格差に見る社会保障費の問題とは?」より。
損得計算表。1940年に生まれた世代は、実に年金だけ取ってみても3100万円のプラス。
一方の、2005年生まれの世代は、年金は払った額より受け取る額は少なく、2510万円のマイナス。
日本の人口分布からすれば、この不均衡があることは、ある種、仕方がない。
1940年の戦時中に生まれた世代は、それはそれは、貧しく戦争もあり悲惨な状況、大変な時代を生き抜いてきた方々でもあり、そして、高度成長期には、昼夜を問わず働いて、今のようなパワハラ、〇〇ハラへの保護もない中でひたすら、今の日本の基盤を作り上げてきた世代。
その恩賞の点から、年金が手厚くなっても、自分的には、合理性がある。
ただ、これを財テクのために、貯め込んでしまうことには異論はある。
世の中に還元しなければ、1940年~1980年頃に生まれた世代が莫大な医療費を費やしていくことに対して、1980年以降に生まれてきた世代の負担が甚大にならざるを得ない。
政府は事実を知っている。だが、選挙制度によって、政治家が信念を貫くことができないのも、これもまた真なり
この不均衡を、うまくコントロールしていくのが、政府だが、残念ながら、できない。できるわけがない。
なぜか。それは、自分を選んでもらうために選挙に来てくれるのは、圧倒的多数で高齢者だからだ。
高齢者に手厚い公約をしなければ、そして、高齢者のためのことを言うために、選挙カーで、或いは駅前で宣言しなければ、そもそも議員になれない。
「票田は高齢者にあり」なのだ。若い人におもんぱかった策を口に出せば議員にはなれない。若い人を救うための熱い思いがあったとて、それを駅前でマイクで言ってしまえば、若い人を救えないというパラドックスだ。
「なんだ。がっかりだ。結局、票田集めのことしか政治家はしていない」と若い方々が、非難するのも少し違う。若い人たちが積極的に選挙に来て、参政しないのが、発端の一つでもある。
卵が先か、鶏が先かの議論となる。
消費税の賛否は、「将来の世代の負担を軽くする派」と「今の自分達が大切派」に大別!?
ドラスチックな言い方をしてしまえば、「消費税(増税)賛成派」は、「後世のことを考える人」で、「反対派」は、「今の自分や家族が大切と考える人」に大別できる。
則ち、先ほどの不均衡で、「年金を払った分より受け取る方が多い世代」からも、均質に社会にお金を還流して欲しいという考えに基づく。消費税は、唯一、その世代から資金を収集できる手段だ。
前述した括り「消費税賛成派」「反対派」、一体、どちらが正しいかと言えば、どちらも正しい。自分達が暮らしていくのが優先という考えも、自分達の子供、孫、未来の日本のための自分達の使命があるという考えも、どちらも正しい。
ただ一つ。「年金を払った分より受け取る方が多い世代」から均質に社会的負担をしてもらえる期間は永遠ではないということを念頭に入れておかなければならない。
上表で「損得がプラスな世代」は高齢期に差し掛かっている。その先の時期となれば、その方々が消費をすることがほぼなくなり、病院に通うことが多くなり医療費が増えていくか、自宅での介護費用が増大していくのみになる。
そう考えると、消費税増税に賛成する若者達が増えてきても良いのだろう。
コメント